オペレーティングリースの基礎知識
IFRS適用でオペレーティングリースはどうなる?使用権資産による仕訳方法

新リース会計基準における新ルール・会計処理を解説

IFRS適用でオペレーティングリースはどうなる?使用権資産による仕訳方法

2019年から新リース会計基準(国際基準:IFRS16・米国基準:ASC Topic842)が適用され、これまで「リース資産」として会計処理・仕訳していたものは「使用権資産」として処理することとなります。

この記事では、従来のリース取引の概要と、IFRS16における新ルール・会計処理を解説していきます

リース取引の仕訳で迷うことがないよう、早めに使用権資産を使った会計処理を行う理解しておきましょう。

生命保険協会認定FP(TLC) / 相続診断士 / MDRT成績資格会員(COT)

この記事の監修担当者:高橋進

新卒で大手百貨店に入社。食料品部では催担当、労働組合では執行役員を務め、接客販売と社内改善に貢献。グッドサービス賞受賞。

その後2013年、外資系大手生命保険よりヘッドハンティングを受け転職。各コンテストで入賞を果たし、個人保険全国3200人中4位特別表彰など業績を拡大。2015年大手上場金融代理店に入社。

MDRT、COT成績資格会員と実績を伸ばし、ワンストップで顧客のための金融サービスを展開する独立型資産形成アドバイザーとして、マネーセミナー講師をしながら、個人から法人、幅広く提案している。その後、非金融業界の会社経営などにも参画し、幅広い知識と経験を持つ。

個別相談のご要望も承りますので、お気軽にお問い合わせください。

2019年適用開始のIFRS16でオペレーティングリースの取扱いはどう変わる?

2019年1月から適用開始となったIFRS16では、主にファイナンスリースとオペレーティングリースの分類や契約期間に関するルール変更が行われました

まずは従来のファイナンスリース・オペレーティングリースの概要と、IFRS16で大きく変わった2つのポイントについて詳しく見ていきましょう。

従来のリース取引の区分

従来のリース取引では、リースの契約内容によって「ファイナンスリース」もしくは「オペレーティングリース」という大きく2つの種類に分けられていました。

それぞれのリースの特徴と判定基準は以下の通りです。

ファイナンスリース取引の概要

ファイナンスリースとは、以下の2つの要件を満たすリース取引を指します。

ノンキャンセラブル リース契約に基づくリース期間の中途で当該契約を解除することができないリース取引、またはリース料相当の違約金を設けるなど、事実上中途解約不可と認められる取引
フルペイアウト 当該契約に基づいて使用する物件からもたらされる経済的利益の享受と、同様にして生じるコストを実質的に負担するリース取引

ファイナンスリースは中途解約ができず、リース物件から得られる費用・収益が全て借手のものとなる取引です。

そのため、リースという名目ではあるものの、その実態は分割払いで物件を購入することと同じとなります。

ファイナンスリースは原則としてオンバランス処理が必要ですが、少額契約や短期契約など特定の条件を満たすものはオフバランス処理が認められます

オペレーティングリース取引の概要

オペレーティングリースとは、前述したファイナンスリースの要件を満たさないリース取引のことです。

ファイナンスリースとオペレーティングリースの違いをまとめると以下のようになります。

ファイナンスリース オペレーティングリース
中途解約 不可 原則不可(早期購入選択権の行使による解約が可能)
支払リース料 購入する場合より高い 購入する場合より安い
リース期間 法定耐用年数の60~70%以上 任意
会計処理 原則オンバランス オフバランス

またオペレーティングリースはオフバランス処理が可能なため、貸借対照表には計上されないのも特徴です。

このように、ファイナンスリースとオペレーティングリースは同じような仕組みであるにも関わらず、会計処理に大きな違いがあるというのが従来の仕組みでした。

IFRS改正後のリース取引の取扱い

従来の会計ルールでは、本来ファイナンスリースとなる契約の内容を調整し、オペレーティングリースとしてオフバランス処理するケースが頻発していました。

これでは貸借対照表で正確な資産・負債を認識できないと問題視され、2019年のIFRS16で大きなルール変更が行われたのです。

中でも大きな変更点として、「リース区分の廃止」「契約期間の判定基準」 の2つが挙げられます。

ファイナンスリース・オペレーティングリースの区分が廃止

IFRS16では「ファイナンスリース」・「オペレーティングリース」という区分自体が廃止されました。

これにより、リース契約ごとの分類・判定基準がなくなり、全てのリース取引において単一の会計処理が適用されるようになります。

今後はリース契約の内容にかかわらず、全てのリース取引をオンバランス処理しなければなりません。(一部の特例に該当するリースを除く)

つまり、これまではオペレーティングリースとしてオフバランス処理していたものも、全て貸借対照表に計上されるようになるということです。

リース期間の判定

IFRS16では、全てのリース取引について「使用権資産」と「リース債務」を計上(オンバランス処理)しますが、これらの計算にあたり、リース期間の決定が必要となります。

このリース期間は契約期間だけで判定するのではなく、以下の2つのオプション期間を加えた期間で判定するように変更されました。

  • 延長オプション(契約期間の延長を選択できる権利)を行使することが確定的な期間
  • 解約オプション(契約期間の中途での解約を選択できる権利)を行使しないことが確定的な期間

延長期間については、過去の平均的な契約期間や経営計画の目標などに基づいて算出されます。

リース資産は「使用権資産」という勘定科目に変更

IFRS16適用後は、会計処理に用いられる勘定科目なども変更となります。

続いて、IFRS16に基づいた会計処理の概要と、IFRS16適用による日本企業への影響について詳しく見ていきましょう。

“リース資産を使用する権利”を購入したという考え方

従来のリース会計では、「リース≒リース資産を購入すること」と考えられていたため、期間後に資産を返却するオペレーティングリースはオフバランス処理が適用されていました。

しかし、IFRS16では「リース=リース資産を使用する権利を購入すること」と考え、オペレーティングリースを含む全てのリース取引が貸借対照表上で認識されることとなったのです

この考え方を「使用権モデル」といい、従来は「リース資産」として会計処理してきたものは「使用権資産」という勘定科目に変更されます。

IFRS改正後の会計処理

使用権モデルの会計処理を行う際は、新たに「使用権資産」という勘定科目が登場します。

といっても、従来の「リース資産」を使った会計処理と同様の流れで進むため、難しく考える必要はありません。

ここでは、以下の例をもとにして使用権資産を使った会計処理の流れを解説していきます。

  • 3,000,000円の機械装置を年間1,000,000円で3年間リース
  • 見積現金購入額は2,800,000円
  • 年間の利率は2%

リース開始時の仕訳

借方 貸方
使用権資産:2,883,882 リース債務:2,883,882

契約時の使用権資産は、リース料支払い総額の現在価値で計算されます

リース料支払い総額の現在価値とは、「3年後の3,000,000円を現在の価値に直した金額」を指すもので、計算方法は以下の通りです。

  1. 1,000,000÷(1.02)^1=980,392(利率2%のときの1年後の1,000,000円の現在価値)
  2. 1,000,000÷(1.02)^2=961,168(利率2%のときの2年後の1,000,000円の現在価値)
  3. 1,000,000÷(1.02)^3=942,322(利率2%のときの3年後の1,000,000円の現在価値)
  4. 980,392+961,168+942,322=2,883,882

従来のリース取引では、リース料支払い総額の現在価値またはリース物件の見積現金購入価額(借手が現金で購入するとした場合の見積金額)のいずれか低い方を計上額としていました。

しかし使用権モデルでは「リース資産を購入すること」とは考えないため、見積現金購入価額は使用せず、現在価値で計算した金額が使用権資産および負債の額となります。

リース料支払い時の仕訳

借方 貸方
リース債務:980,000 現金:1,000,000
支払利息:20,000

毎年のリース料支払い額となる1,000,000円は、元金と支払利息に分けての計上が必要です。

決算時の仕訳

借方 貸方
減価償却費:961,294 使用権資産:961,294

決算時は、使用権資産も通常の資産と同じように減価償却を行います。(上記は定額法で計算)

オフバランス処理が認められる例外規定

IFRS16ではオペレーティングリースを含む全てのリース取引を使用権資産で処理することとなりますが、以下に該当するものは例外的にオフバランス処理が認められます

  • リース期間が12ヶ月以内の短期リース
  • 新品購入時における資産の金額が5,000米ドル以下の少額リース

使用権モデルへの移行による影響とは

IFRS16適用後は、これまでオフバランス処理していたオペレーティングリース取引も全て「使用権資産」としてオンバランス処理が必要です

以前は計上されていなかった資産や負債が貸借対照表上で認識されるようになるため、結果として資産と負債が増加することとなります

使用権資産で処理することにより貸借対照表上の資産・負債が増えると、以下の財務指標が影響を受けます。

  • ROA(総資産利益率)
  • 負債比率
  • 資産回転率

ROAや負債比率が悪化すると、資金調達にかかるコストの増大といった影響を受ける可能性があるでしょう。

また、従来のオペレーティングリースではリース料の全額を「支払リース料」として経費計上することができましたが、今後は「減価償却費」および「支払利息」の計上が必要です。

支払利息は営業外費用となるため、会社の営業利益は大きくなると考えられます。

更に延長・解約オプションによりリース期間が延びた場合は減価償却費の金額も変わってくるため、損益計算書の影響が大きくなる点にも注意が必要です。

IFRS適用に伴うオペレーティングリースの取扱いと使用権資産の概要まとめ

  • IFRS16の適用により、ファイナンスリースとオペレーティングリースが実質一本化された
  • 今後、リースとは「リース資産を使用する権利(使用権資産)を購入すること」という考え方が基準となる
  • 会計処理においては、「リース資産」に代わり「使用権資産」という勘定科目が使われる

日本基準もIFRSに準拠した内容へ揃えていくことが明らかになっているため、数年以内には同様の使用権資産を用いた考え方が盛り込まれる可能性が高いとされています。

IFRS適用企業だけでなく、全ての日本企業に影響のある事項として、早めに使用権資産を使った会計処理への準備・対策を進めておきましょう。

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