オペレーティングリースの基礎知識
オペレーティングリース取引の資産計上と会計処理について

新基準によるオペレーティングリース取引の資産計上の会計処理と影響

従来の会計基準では、ファイナンスリースとオペレーティングリースに分けた上で、それぞれ異なる仕訳を行うこととなっていました。

しかし2019年より、国際財務報告基準「IFRS」を適用する企業では、新リース会計基準の強制適用が開始されました。

これにより、オペレーティングリース取引における会計処理が大きく変わりました。

具体的には、借手側でもリース資産に関して資産計上することが必要となりました。

今後日本の会計基準(日本基準)でも、IFRSに準拠したオペレーティングリースの会計処理が強制的に適用となる可能性は十分考えられます。

会計基準が変わることで、税務処理にも大きな影響が及ぶと考えられます。

そこで今回は、中小企業などで多く活用されるオペレーティングリース取引について、新リース会計基準によって生じた変更点を詳しく解説します。

生命保険協会認定FP(TLC) / 相続診断士 / MDRT成績資格会員(COT)

この記事の監修担当者:高橋進

新卒で大手百貨店に入社。食料品部では催担当、労働組合では執行役員を務め、接客販売と社内改善に貢献。グッドサービス賞受賞。

その後2013年、外資系大手生命保険よりヘッドハンティングを受け転職。各コンテストで入賞を果たし、個人保険全国3200人中4位特別表彰など業績を拡大。2015年大手上場金融代理店に入社。

MDRT、COT成績資格会員と実績を伸ばし、ワンストップで顧客のための金融サービスを展開する独立型資産形成アドバイザーとして、マネーセミナー講師をしながら、個人から法人、幅広く提案している。その後、非金融業界の会社経営などにも参画し、幅広い知識と経験を持つ。

個別相談のご要望も承りますので、お気軽にお問い合わせください。

新リース会計基準の強制適用で資産計上が必須に?

従来の会計基準では、オペレーティングリースを賃貸借処理と同様に仕訳する決まりでした。

借手会社はあくまでリース資産を借りているだけなので、リース資産を資産計上する必要はありませんでした。

一方の貸手会社は、資産を貸しているだけなので、リース資産の資産計上が必要となっていました。

しかし世界的に用いられる会計基準「IFRS」では、2019年から新リース会計基準の強制適用が始まったことで、従来とは異なる会計処理が必要となりました。

具体的には、借手側でリース資産を資産計上することが原則必須となりました。

日本基準に関しても、2020年代前半内には、借手側でのリース資産計上が必須となると言われています。

したがって、日本基準を採用する中小企業でも、経営陣や経理部門で新リース会計基準に関する理解が必須となります。

新リース会計基準の取扱いと改正ポイント

新リース会計基準の改正ポイントを一言で表すと、「ファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引の区別を無くすこと」です。

従来の会計基準において借手は、ファイナンスリース取引では資産計上する一方で、オペレーティングリース取引では資産計上しない仕組みとなっていました。

しかしこの方法には、固定資産を貸借対照表に計上しないことで、総資産利益率などの財務指標を良く見せることができるという問題点がありました。

その結果、実際にはファイナンスリース取引として計上すべきにも関わらず、オペレーティングリース取引として会計処理を行う借手企業が少なからず存在しました。

このような問題点の解決につながるのが新リース会計基準です。

借手側でもリース資産に関して資産計上するようにすることで、ファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引の間で生じる会計処理の違いが無くなり、従来の問題点が解決できる形となったのです。

では、新リース会計基準を適用する借手会社は、オペレーティングリースでどのような会計処理を行う必要があるのでしょうか?

結論から言うと、新リース会計基準ではリースを「リース資産を使用する権利」を所有したとして認識し、仕訳を行います。

具体的には、「オペレーティングリース開始時点」、「リース料の支払い」、「減価償却費の計上」という3つのタイミングで会計処理が必要となります。

⑴オペレーティングリースの開始時点

オペレーティングリース取引の開始時点では、「リース資産(使用権)の資産計上」と「リース取引で生じる義務(負債)の計上」の2つを仕訳します。

(借方)  使用権資産 100千円(貸方)  リース負債  100千円

なお資産計上する使用権資産やリース負債の金額に関しては、原則リース料総額の割引現在価値を計上します。

⑵リース料の支払い

リース資産について資産計上したとはいえ、オペレーティングリースではリース料の支払いが生じます。

リース料の支払い時には、借方にリース負債と支払利息、貸方に現預金を仕訳する方法で会計処理を行います。

(借方)  リース負債 20千円(貸方)  現金  22千円
(借方)  支払利息  2千円

⑶減価償却費の計上

資産計上した「使用権資産」については、通常の資産と同様に減価償却費を費用として計上します。

減価償却費とは、経年劣化する資産について、その価値の減少分を費用として計上する会計処理を意味します。

使用権資産は目に見えないとはいえ資産計上しているため、かならず減価償却費を計上しなくてはいけないのです。

なお減価償却費を計上するにあたっては、資産計上した使用権資産の耐用年数を知らなくてはいけません。

耐用年数に関しては、資産の所有権が移転する場合は「利用可能年数」、移転しない場合は「リース期間」を用います。

(借方)   減価償却費  30千円(貸方)  使用権資産  30千円

以上が新リース会計基準における、借手が行うべきオペレーティングリース取引の会計処理となります。

上記の会計処理を基に、最終的な税務処理も行います。

従来と異なり、使用権資産を資産計上する点が最も重要なポイントです。

ただしIFRS(新リース会計基準)では、「リース期間が1年以内であるオペレーティングリース取引」や「リースされている資産の金額が少ないオペレーティングリース取引」に関しては、例外的に使用権資産の資産計上を行わなくても良いとしています。

したがって新リース会計基準を適用する企業では、まずは契約しているオペレーティングリース取引が「短期リース」や「少額リース」に該当するかどうか確認しましょう。

仮に該当する場合は、従来通り資産計上は不要となります。

オペレーティングリース取引の投資の場合も影響は出るの?

この記事をお読みになっている方の中には、オペレーティングリース取引を投資目的で活用する方もいらっしゃるかと思います。

そうした方にとっては、新リース会計基準は、オペレーティングリース取引を投資で行う場合にも影響を与えるかどうかが気になる部分だと思います。

結論から言うと、新リース会計基準はオペレーティングリース取引の貸手側や投資家には影響を与えません。

したがって、新リース会計基準が適用されても、貸手側や投資家側では特段対応すべきことはありません。

新基準による対応や影響が出るのは借り手の企業側

そもそも新リース会計基準がオペレーティングリースにおける貸手や投資家に影響を与えないのは、借り手企業の行う仕訳のみが大きく改正されたためです。

借手側にとっては、リース資産について資産計上する必要性が生じるだけでなく、勘定科目の変更や例外的な処理(少額リースなど)を適用できるかどうか確認する必要もあります。

従来とは会計処理の内容が抜本的に変わるため、実務を行う経理部門はもちろんのこと、ファイナンス戦略を担う財務部門や経営陣も、損益計算書への影響を調べたり、今後の戦略を再構築する必要が出てきます。

一方で貸し手であるリース会社や匿名法人は、引き続き賃貸借取引として会計処理を行います。

リース資産を売却したわけではないため、資産を貸し出した時点では何も行わず、引き続き資産計上しているリース資産を認識します。

一方でリース料を受け取った時点では、受け取りリース料を収益、現金を資産の増加として計上します。

貸し出している資産は引き続き資産計上するため、固定資産税や減価償却費の計上も必要となります。

一方でオペレーティングリース取引に投資する中小企業や投資家は、投資した金額を「有価証券」として資産計上します。

有価証券として資産計上する点に関しては、リース会計基準による影響はありません。

したがって、従来通り資産計上の仕訳を行えば問題ないでしょう。

なお、投資した先の会社が赤字を計上した場合は、出資した側でも損失として税務処理を行います。

このスキームを使って節税を図る方法も同様に、引き続き問題なく活用することが可能です。

そもそもオペレーティングリース取引に投資することは、投資による利益や節税などのメリットを享受する目的で行う行為です。

そのため、今回のオペレーティングリースに関する会計処理の変更(権利の資産計上)とは基本的に関係のない話です。

オペレーティングリースに投資している方は、引き続き有価証券を資産計上するようにしましょう。

まとめ

新リース会計基準の適用により、借手側はオペレーティングリース取引でも、ファイナンスリースと同様に、リース資産に関する権利(使用権資産)を資産計上する決まりとなりました。

使用権資産の資産計上が原則義務となることで、現場の経理や税務部門は対応の変更を余儀なくされます。

一方で貸手や投資家側は、従来と同様の方法でオペレーティングリースの会計処理を行えるので、特に今回のリース取引に関する基準変更は意識せずとも良いでしょう。

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