法人税の節税効果が期待でき、かつ長期的な収入を得られるとして、太陽光発電投資が人気です。
この記事では、太陽光発電投資を行うことでかかる税金の種類と、節税効果をはじめとする導入メリットを解説。
太陽光発電と合わせて活用したいおすすめの法人向け節税対策も紹介しているので、こちらもチェックしてみてくださいね。
AFP(日本FP協会認定) / MDRT成績資格会員(COT)
この記事の監修担当者:渋谷幸司
新卒で大手鉄鋼商社に入社。5年半、日本を支える鉄鋼企業と世界の橋渡しに尽力した後、2015年外資系大手生命保険会社に転職。転職後も前職のお客様を金融業の側面から支えたいという想いで奮闘した。
日々取り組んでいく中で、世界情勢の変化や、日本社会の制度改定、お客様の思考変化を察知し、自身の事業変革を決断。
2018年大手上場金融代理店に入社し、生命保険業においてはMDRT、COT成績資格会員と実績を伸ばしつつ、所属会社で扱っていないDC(確定拠出年金)などを自ら会社の枠を超えて代理店契約するなど勢力的に活動。現在は保険営業マン向けのセミナー講師を務め、「先生」として同業者から熱い信頼を受けている。
個別相談のご要望も承りますので、お気軽にお問い合わせください。
太陽光発電投資にかかる税金の種類
太陽光発電とは、太陽光を太陽電池と呼ばれる半導体にあててエネルギー(電気)を生み出す仕組みのことです。
自宅の屋根や余った土地に太陽光パネルを設置し、太陽光によって生み出された電気を電力会社が買い取ることで収益を得られます。
まずは、この売電による収益に対してかかる税金の種類について詳しく見ていきましょう。
法人税・所得税
太陽光発電投資によって得た収入(売電収入)は、法人税(法人の場合)および所得税(個人事業主の場合)の課税対象となります。
収入の全てに税金がかかるわけではなく、設備の減価償却費やメンテナンス費用といった経費を差し引いた利益に対して課税されます。
また給与所得者については、経費を差し引いた利益が年間20万円を超える場合のみ所得税の支払いが必要です。
なお太陽光パネルで発電した電気を自宅でも利用している場合、自宅で使った分は原則として経費にできません。
自宅兼事務所という形で電気を使っているようなケースでは<費用×売電量/発電量>で算出される金額が経費計上できる部分となります。
固定資産税
法人または個人事業主が太陽光発電投資のために導入した設備は、減価償却が必要な償却資産に該当することから、固定資産税の支払いが発生します。
太陽光発電の法定耐用年数は17年となっているため、17年かけて設備費用を経費化していくということです。
年間の固定資産税は<固定資産評価額×1.4%>で計算します。
また給与所得者の場合、住宅用の太陽光発電設備を後付けしたケースでは固定資産税は発生しません。
住宅用の太陽光発電設備は生活用資産と考えられ、固定資産に含まれないことが理由です。
ただし、10KWを超える産業用の太陽光発電設備を導入した場合や、屋根材一体型のパネルを取り付けた場合には固定資産税がかかるので注意しましょう。
住民税
住民税は都道府県や地方自治体に対して支払う税金のことで、毎年の課税所得に対して計算されます。
法人・個人事業主の場合、太陽光発電投資による住民税への影響はありません。
一方給与所得者については、金額にかかわらず売電収入がある場合には住民税の申告が必要となります。
売電収入による所得は給与所得とは別であるため、会社任せではなく自分で申告を行わなければならない点に注意しましょう。
また太陽光発電での収入があることを勤務先の会社に知られたくない場合は、住民税を自分で納付する「普通徴収」に切り替えておくことをおすすめします。
法人の節税対策として太陽光発電投資を導入するメリット
太陽光発電投資を導入することで法人税(所得税)・固定資産税などの税金が発生しますが、それを踏まえてもメリットの大きな手法であるといえます。
続いて、太陽光発電投資による節税メリットおよびその他のメリットについて詳しく見ていきましょう。
減価償却費やその他費用を経費計上できる
太陽光発電投資では、設備を購入して設置するタイミングで大きな費用が発生しますが、この設備費用は減価償却費として経費計上することができます。
また設置後にかかるメンテナンス費用や消耗品費・水道光熱費といった費用も経費計上できるため、課税所得を抑えることによる節税が可能です。
税制優遇・税額控除を受けられる
法人・個人事業主の場合は、太陽光発電投資に関する様々な支援制度を受けることができます。
基本的には法人向けのものになりますが、個人事業主が利用できるものもあるので、一通りチェックしておきましょう。
免税事業者として消費税免除を受ける(法人・個人)
以下の要件を満たす法人・個人事業主は免税事業者になることができます。
- 前々年度の課税売上高が1,000万円以下
- 開業して2年未満の事業者
免税事業者になると、例えば事業として売電を行う場合に、収入に含まれる消費税を税務署に納付する義務がなくなります。
消費税納付が免除されることで節税効果を得られ、更に自分の利益として預かった消費税を保有できるため、開業間もない法人や個人事業主におすすめの手法です。
中小企業経営強化税制の活用(法人)
中小企業経営強化税制とは、中小法人の設備投資による生産性向上を支援する制度のことです。
自家消費型太陽光発電(発電した電気を全て自社で消費)または余剰売電(自社消費して余った電気の売電)を行っている中小法人は、以下のどちらかの優遇措置を受けることができます。
即時償却 | 太陽光発電設備にかかる費用の100%を、取得年度の経費として計上する |
---|---|
税額控除 | 太陽光発電にかかる費用の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)を税額の対象から控除する |
税額控除額は法人税額の20%までとなりますが、20%を超えた分は翌年度まで繰り越すことができます。
導入初年度の利益が大きくなった場合は即時償却、長期的に節税を行いたい場合は税額控除を選ぶと良いでしょう。
なお、中小企業経営強化税制の認定を受けられるのは2023年3月31日までとなっています。
再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置(法人)
太陽光発電・風力発電・水力発電などの再生可能エネルギー発電設備のうち、特定の条件を満たす設備は固定資産税の減額を受けることができます。
特例が適用される期間は、その設備に対して新たに固定資産税が課税されることとなる年度から3年度分です。
令和2年4月1日~令和4年3月31日に取得した設備の特例割合は以下の通りです。
1,000KW未満の太陽光発電設備 | 2/3 |
---|---|
1,000KW以上の太陽光発電設備 | 3/4 |
なお、特例措置の対象となるのは、売電をしていない太陽光発電設備(自家消費型太陽光発電)のみとなります。
売電を行っている場合は対象外となるので注意しましょう。
中長期的な利益を得られる
太陽光発電投資は、減価償却費の計上や税制優遇による節税メリットを得られるだけではありません。
法定耐用年数経過後も稼働を続けることで、中長期的に安定した売電収入を得られるのも大きなメリットの1つです。
また自家消費型太陽光発電であれば、自社で電気を発電することによる電気料金の削減効果もあります。
法人の節税対策ならオペレーティングリース投資もおすすめ
法人税の節税対策として投資を活用するのであれば、日本型オペレーティングリースもおすすめです。
最後に、日本型オペレーティングリースによる節税の仕組みと、太陽光発電と比較した場合のメリットについて詳しく見ていきましょう。
日本型オペレーティングリース投資の概要
日本型オペレーティングリースとは、オペレーティングリース取引と匿名組合による契約形態を組み合わせた法人向け投資商品の1つです。
オペレーティングリース取引で使用する資産の購入に出資することで、資産の減価償却費や売却益といった損益の分配を受けられるのが特徴。
日本型オペレーティングリースでは航空機・船舶・コンテナなどの高額物件を取り扱うため、数千万円~数億円単位の節税対策も可能です。
太陽光発電投資との使い分け方法
太陽光発電投資と日本型オペレーティングリースの違いは以下の通りです。
太陽光発電投資 | 日本型オペレーティングリース投資 | |
---|---|---|
出資額 | 1,000万円~2,000万円程度 | 3,000万円~(航空機・船舶の場合) |
運用業務 | 自社で運用または委託 | リース会社が運用 |
専門知識 | 必要 | 不要 |
キャッシュアウト | メンテナンスなどで定期的に発生 | 出資時のみ |
太陽光発電投資は自社に太陽光発電設備を導入して行うため、定期的なメンテナンスなどが発生します。
一方日本型オペレーティングリース投資の場合は匿名組合を通じて出資するだけなので、出資後の管理はリース会社に全て委託することができます。
またキャッシュアウトも最初の1回のみなので、翌年度以降の収益を気にしなくて良いという点もオペレーティングリースのメリットです。
そのため突発的な利益が出た年の節税対策として導入するのであれば、太陽光発電投資よりも日本型オペレーティングリース投資がおすすめです。
まとめ
- 太陽光発電設備を導入し売電を行う場合は、法人税(所得税)および固定資産税の支払いが必要
- 太陽光発電設備は減価償却費を計上できる他、様々な税制上の優遇措置を受けられるのがメリット
- 法人で突発的な利益対策が必要な場合は、日本型オペレーティングリース投資を使った節税もおすすめ
太陽光発電は節税効果を得られるだけでなく、中長期的な収入の確保や電気料金削減など様々なメリットのある手法です。
また法人の場合は日本型オペレーティングリース投資による節税もおすすめなので、状況に合わせて適切な節税方法を選択してみてくださいね。