2019年10月1日より、改正消費税法(※)の施行により、消費税および地方消費税の標準税率が8%から10%(国税7.8%、地方税2.2%)に引き上げられています。
これに伴って、一般的な間接税の増税、消費税増税以外のリース契約(ファイナンスリースやオペレーティングリース、レンタル)などに係る消費税率に関しても、取引の契約期間、内容によっては適用される税率が変わってきます。
※これは「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」を意味しています。(以下同様とします)
こちらのページでは、改正消費税法による資産貸付、特にオペレーティングリースにおける税率の変化についてご紹介していきます。
ファイナンシャルプランナー / 生命保険協会認定FP / MDRT成績資格会員
この記事の監修担当者:伊藤理沙
日系大手生命保険会社で活躍後、2015年より保険代理店に所属。ライフプラン、家計の見直し等の個人コンサルティングを主軸に、ライフプランセミナー等の講演活動も行っている。相談件数は2,000件以上。
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消費税率の改正による引き上げと経過措置の実施
定期的に改正される消費税率ですが、その税率の変化はビジネスにおいても様々な業界や企業にも影響が及ぶものであり、その都度適切な対応が迫られていきます。
そして、リース契約に関しては契約のタイミングや、リース開始のタイミングなどによって税率の扱いが変わったり、経過措置が適用される場合があります。
税務・経理上「売買取引」となる場合
下記の契約に関しては、税務・経理上「売買契約」として扱われます。
・2008年4月1日以降に契約のファイナンス・リース 契約
・割賦契約
これらの契約に関しては、ファイナンスリース開始日(物件の借受証交付日)であり、割賦開始日(物件の受領証交付日)のタイミングの税率が適用されることとなります。
税務・経理上「賃貸借取引」となる場合
下記の契約に関しては「賃貸借取引」として扱われます。
・オペレーティングリース契約
・再リース契約
再リース契約に関しては、再リースの開始日時点での税率が適用されます。
つまり、再リースは1年ごとの契約のため、当初の再リース開始日が施行日前であっても、1年後の再リース期間満了のタイミングで再度契約を更新することができます。
そして、契約更新をして再リースを継続した場合は、その契約更新日を再リース開始日として扱います。
オペレーティングリースに関しては次項で経過措置と合わせて説明してまいります。
オペレーションリース取引の場合はどのタイミングなのか
オペレーティングリースにおける消費税の扱いは、下記の2つのポイントで税率が決まります。
- 契約日
- オペレーティングリースの開始日
2019年10月1日に施行された改正消費税法ですが、もちろんこの施行日以降に契約されたオペレーティングリースは全て税率10%であり、経過措置は適用されません。
まず、オペレーションリース契約で経過措置が適用されるためには下記の2点を共に満たす必要があります。
- 「契約日が2013年10月1日〜2019年3月31日以前に交わされていること」
- 「オペレーティングリースの開始日が2019年9月30日以前であること」
そして、オペレーティングリースの経過措置を適用するためには、上記2点を満たしただけでなく、下記にある改正消費税法に定められた経過措置の要件を2点を共に満たす必要があります。
- 当該契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること
- 事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと
※対価=リース料のことを指します
これらの条件を全て満たした場合に、オペレーティングリースの経過措置を適用できるのです。
オペレーティングリースの経過措置についてまとめ
消費税率改正がオペレーティングリース契約に税務上でどのような変化をもたらすかを確認してきました。
結論としては、2019年近辺で契約が進められているオペレーティング契約に関しては経過措置が取られる場合もある、ということです。
改正消費税法が施行された後に、新規で契約されるオペレーティングリースをはじめとしたリース契約には経過措置は適用さません。
経過措置が適用されないので、8%ではなく10%の税率がかかることになります。
今後も消費税率が改正される可能性があるので、将来オペレーティングリース契約を検討されている方は、仕訳や税率の経過措置について頭の片隅に入れておくと良いでしょう。