オペレーティングリースの基礎知識
オペレーティングリース取引の契約における消費税率10%へ増税の影響

オペレーティングリースを仕分けする際の消費税のこと

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オペレーティングリースとは、ファイナンスリース以外のリース契約全般を指します。

言い換えると、ファイナンスリースの要件である「中途解約の不能(ノンキャンセラブル)」と「フルペイアウト」の要件を満たしていないリース契約です。

そんなオペレーティングリース契約では、通常の賃貸借取引と同様に会計処理を行います。

消費税に関しては、税務上リース料の支払いがあった日の時点の税率を使って計算します。

今回の記事では、そんなオペレーティングリース契約における消費税の仕訳方法や、2019年10月に施行された増税による影響をくわしく解説します。

同じリース取引でも、ファイナンスリース契約とは大きく会計処理の方法が異なるため、あらかじめこの記事を読んで知っておきましょう。

ファイナンシャルプランナー / 生命保険協会認定FP / MDRT成績資格会員

この記事の監修担当者:伊藤理沙

日系大手生命保険会社で活躍後、2015年より保険代理店に所属。ライフプラン、家計の見直し等の個人コンサルティングを主軸に、ライフプランセミナー等の講演活動も行っている。相談件数は2,000件以上。

個別相談のご要望も承りますので、お気軽にお問い合わせください。

オペレーティングリース契約における消費税の仕訳を解説

オペレーティングリース取引では、貸手と借手双方で消費税の会計処理が必要です。

この章では、貸手と借手双方が、オペレーティングリース取引で行うべき消費税の仕訳方法を説明します。

借手側の仕訳

オペレーティングリース契約により、車などの事業用資産を借りた場合、リース料の支払い時のみに消費税が発生します。

税務や会計上は、オペレーティングリースの契約を、あくまで物の貸し借りとみなします。

そのため、リース資産の取得時点では消費税は非課税となります。

リース料を支払った時点では、借方に支払リース料と仮払消費税等、貸方に現金を仕訳します。

たとえば支払リース料が100千円の場合、消費税は100千円×10%=10千円となります。

したがって、仕訳内容は以下の通りになります。

(借方)  支払リース料 100千円 (貸方)  現金 110千円
(借方)  仮払消費税等 10千円

貸手側の仕訳

オペレーティングリース契約で資産を第三者に貸し出した場合、借手と同様にリース資産を渡した時点では仕訳を行いません。

リース料の支払いが発生した場合にのみ、消費税の仕訳を行います。

リース料支払い時の仕訳に関しては、貸手が税込経理方式と税抜経理方式のどちらを採用しているかによって、具体的な処理方法が変わります。

税込経理方式の場合

税込経理方式とは、税抜の金額と消費税の金額を合算した税込金額で仕訳する方法です。

基本的に多くの法人では、税込経理方式を導入しているかと思われます。

つまり、勘定科目に消費税は記載せず、税込金額のみを仕訳します。

たとえばリース料が100千円の場合、消費税は10千円となります(10%の場合)。

したがって、借方にはリース料として受け取った税抜金額と消費税を合算した現金110千円、貸方には受取リース料として110千円を仕訳します。

具体的には下記の通りです。

(借方)  現金  110千円 (貸方)  受取リース料  110千円

税抜経理方式の場合

税抜経理方式とは、消費税は別個で仕訳する方法です。

つまり、税抜の金額に加えて消費税も個別で記入するわけです。

たとえばリース料が100千円の場合、消費税は10千円となります(10%の場合)。

したがって、借方にはリース料として受け取った税抜金額と消費税を合算した現金110千円、貸方には受取リース料として110千円を仕訳します。

具体的には下記の通りです。

(借方)  現金110千円 (貸方)  受取リース料  100千円
(貸方)  仮受消費税等  10千円

消費税10%への引き上げによる会計処理への影響


2019年10月1日から施行された改正消費税法により、消費税は8%から10%に引き上げられました。

増税の影響は、オペレーティングリース契約の会計処理にも影響を与えました。

ファイナンスリース契約の場合は、施行日以降に契約した取引にのみ、新しい消費税率が適用されるため単純です。

一方でオペレーティングリースには、会計処理のパターンが2つあるため少々複雑です。

この章では、増税後のオペレーティングリース契約における会計処理について、2つのパターンをくわしくご説明します。

原則はリース料に改正後の消費税率(10%)が適用される

原則的には、2019年10月1日以降の期間に支払いが発生するリース料に対して、改正後の消費税率(10%)が適用されます。

たとえば、リース料が100千円の場合でも、それをいつ支払うかによって、消費税の税率や金額が変わります。

支払い日が2019年9月30日の場合は、引き上げ前の消費税率(8%)が適用されます。

したがって、消費税は100千円×8%=8千円となります。

一方で支払い日が2019年10月30日の場合は、引き上げ後の消費税率(10%)が適用されます。

よって、消費税は100千円×10%=10千円となります。

経過措置の要件を満たす場合は改正前の消費税率(8%)が適用される

原則的な会計処理は上記の通りです。

ただし、契約日が2013年10月1日から2019年3月31日以前であり、かつリース開始日が2019年9月30日以前となっているオペレーティングリース取引の場合には、国税庁などもHPにて説明している経過措置が適用される可能性があります。

経過措置が適用された場合、2019年10月1日以降に発生するリース料についても、増税前の消費税率(8%)で計算します。

具体的には、改正消費税法附則第5条4項に定める資産の貸付に関する要件のうち、第1号と第2号に該当する必要があります。

それぞれの要件について、下記にてくわしく説明します。

第1号:当該契約に関する資産の貸付期間、およびその期間中のリース料の金額が定められている

オペレーティングリース契約にて、リース資産の貸付期間やリース料の金額が定まっていることが経過措置の要件となります。

基本的にオペレーティングリース契約では、貸付期間とリース料の金額はほぼ必ず定まっているため、この点はそこまで心配しなくても大丈夫です。

第2号:事業者が事情の変更やその他の理由により、当該リース料の金額変更を要求できる旨の定めがない

オペレーティングリースの経過措置の適用可否を判断する上で、特に注意すべきはこの項目です。

というのも、オペレーティングリースの契約では、しばしばリース料を契約途中で変更できるケースが多いためです。

リース料を変更できるかは、オペレーティングリース取引の貸手側によって異なります。

したがって、リース会社に確認しなくてはいけません。

【まとめ】日本の増税がオペレーティングリースに与える影響に関すること

今回の記事では、オペレーティングリース取引における、消費税の会計処理についてくわしく解説しました。

2019年の消費税引き上げにより、より一層消費税の取り扱いは複雑となっています。

したがって、オペレーティングリース契約を締結する際には十分注意しましょう。

オペレーティングリースが節税に繋がる仕組みはこちら

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